「18単位は終わったのに、定時からカルテを書き始めている」
「昼休みに記録を進めないと、毎日残業になってしまう」
「ほかのスタッフも残っているので、18単位なら残業して当然なのか分からない」
18単位は、患者さんへ直接リハビリを行う時間だけで360分、つまり6時間です。実働8時間なら残るのは120分ですが、その中で情報収集、移動、準備、カルテ、書類、他職種との連携、新患対応、会議などを行います。
したがって、18単位を取得できたことと、すべての仕事を定時までに終えられることは同じではありません。記録時間を予定表に入れず、会議や新患がある日も18単位を変えなければ、何かが定時後へ残りやすくなります。
私は急性期病院で10年以上働き、チームリーダーも経験している理学療法士です。以前は1時間の会議がある日も18単位が必要で、カルテや書類を残業して終わらせていました。その後、会議日は16単位へ調整され、勤務時間内に記録できる時間が増えたことで残業は大きく減りました。
この記事では、18単位の日に残業が発生する時間構造、勤務時間内に収まらない原因、7日間の記録方法、上司への相談例、改善しない職場の判断基準を解説します。
結論:18単位で残業になるのは仕事が遅いからとは限らない
18単位を終えた後にカルテや書類が残るなら、最初に確認したいのは個人の処理速度ではなく、患者対応以外の仕事を行う時間が勤務表に確保されているかです。
| 確認項目 | 定時に終わりやすい運用 | 残業になりやすい運用 |
|---|---|---|
| 患者予定 | 記録枠を残して組む | 終業直前まで連続している |
| 会議・新患 | 単位数や担当を調整する | 通常日と同じ18単位 |
| カルテ | 患者間または終業前に時間がある | 全介入後にまとめて書く |
| 昼休み | 仕事から離れて休める | 記録や電話対応で補う |
| 残業 | 実時間を申請し原因を確認する | 申請せず個人努力として扱う |
もちろん、記録方法や予定の組み方を見直して短縮できる部分はあります。しかし、複数のスタッフが毎日30分から1時間ほど残り、休憩まで記録に使っているなら、個人の工夫だけで解決する問題ではない可能性があります。
18単位そのものの負担や、担当人数・病期による違いを先に確認したい方は、リハビリ18単位がきついと感じる原因と減らす方法をご覧ください。本記事は「なぜ定時後に仕事が残るのか」に絞って解説します。
18単位は患者対応だけで6時間になる
18単位の日の残業を考えるには、単位数を時間へ置き換えると分かりやすくなります。1単位は20分以上の個別療法であるため、18単位の直接対応時間は少なくとも360分です。
実働8時間から引くと残りは120分
実働8時間を480分として計算すると、18単位を終えた後に残るのは120分です。この120分で、リハビリ前後に必要なすべての仕事を行います。
- 朝の情報収集と予定調整
- 病棟間の移動と患者さんの準備
- カルテの記載
- 計画書・サマリーなどの書類
- 医師・看護師・MSWとの情報共有
- 新患評価や家族説明
- カンファレンス・委員会・教育
「2時間も余る」と見えるかもしれません。しかし、移動や短い連絡は患者さんごとに発生します。まとまった120分が自由に残るわけではなく、細かな仕事で少しずつ消えていきます。
18単位は制度上の標準であり毎日の必達命令ではない
厚生労働省の資料では、療法士1人につき1日18単位を標準とし、1日24単位を上限、週108単位までとする考え方が示されています。ただし、「標準」と、会議や新患の有無にかかわらず毎日18単位を必達とする職場運用は分けて考える必要があります。
単位未達を強く責められる、付帯業務を考慮せず数値だけを求められる場合は、リハビリの単位ノルマがきつい職場で起こる問題も確認してください。
18単位の日に残業が発生する5つの理由
18単位で残業になる直接的な原因は、患者対応以外の業務が120分以内に収まらないことです。なかでも、次の5つが重なると定時後へ仕事が残りやすくなります。
1.患者予定が終業直前まで入っている
最後の患者さんが定時直前に終われば、その患者さんのカルテ、病棟への申し送り、物品の片付けは定時後になります。18単位を勤務内に実施できても、終業時刻から逆算して記録枠がなければ残業は避けにくくなります。
2.移動・準備・情報共有を予定時間に入れていない
病棟移動、車椅子移乗、点滴や安静度の確認、看護師への声かけは、リハビリの安全性を保つために必要です。しかし、予定表を20分刻みで詰めると、これらの時間は見えなくなります。
朝の情報収集を始業前に行うことが前提になっている場合は、理学療法士が情報収集で早出するときの残業と時短方法も参考にしてください。
3.カルテと書類の時間が別枠になっていない
カルテは患者さんごとに必要です。さらに、計画書、サマリー、退院時情報提供書、各種評価が重なる日もあります。書類作成時間を患者予定と別に確保していなければ、患者対応後へ積み残されます。
カルテより計画書やサマリーが主な原因になっている方は、理学療法士の書類が終わらない理由と対処法で、書類ごとに時間を分けて整理してください。
4.会議やカンファレンスの日も18単位が変わらない
1時間の会議へ参加すれば、患者対応や記録に使える時間は60分減ります。通常日と同じ18単位を維持するなら、休憩を削る、記録を残す、患者予定を詰めるなど、どこかへ負担が移ります。
会議日の単位調整については、カンファレンスの日も単位必須で残業が増える原因で詳しく解説しています。
5.予定変更や新患を吸収する余白がない
急性期では検査、処置、急変、安静度変更などで予定が動きます。回復期でも家族指導や退院前カンファレンスが入ります。余白のない予定では、一つの変更が午後全体へ波及し、最後の記録時間を削ります。
18単位の日の時間配分を計算すると残業の原因が見える
「忙しかった」という感覚だけでなく、実働時間を項目ごとに分けると、何分不足しているのかが見えてきます。次の表は、実働8時間で18単位を担当する日の一例です。
| 業務 | 時間例 | 累計 |
|---|---|---|
| 情報収集・予定調整 | 25分 | 25分 |
| 患者対応18単位 | 360分 | 385分 |
| 移動・準備・片付け | 35分 | 420分 |
| カルテ記載 | 45分 | 465分 |
| 他職種連携 | 15分 | 480分 |
| 書類・新患・会議 | 発生分 | そのまま時間超過 |
これは説明のための一例であり、全職場に当てはまる標準時間ではありません。ただし、通常業務だけで480分を使い切る日なら、60分の会議が加わったときに60分前後の不足が生じる構造は確認できます。
昼休みに記録すると残業時間が短く見える
昼休みに30分記録すれば、退勤後の残業は30分減ります。しかし、仕事から離れられていないなら、負担が消えたのではなく、勤務後から休憩時間へ移っただけです。
食事をしながらカルテを書くことが常態化している方は、理学療法士が昼休憩を取れない職場の問題も確認してください。
担当人数が多いほど切り替え時間も増える
1人へ3単位ずつ実施して6人で18単位になる日と、1人1単位で18人を担当する日は、同じ18単位でも情報確認、移動、記録の回数が異なります。単位数だけでなく、担当人数と介助量も一緒に記録する必要があります。
会議日を18単位から16単位へ調整すると残業が減った実例
私は以前、1時間の会議がある日も18単位が設定されていました。会議中は患者さんへ対応できないため、リハビリを終える頃には記録時間がほとんど残らず、カルテや書類を残業して終わらせていました。
その後、会議日は16単位へ調整されるようになりました。2単位は40分なので、1時間の会議すべてを補えるわけではありません。それでも、勤務時間内にカルテを進められる時間が生まれ、残業は大きく減りました。
残業を減らしたのは「もっと速く書く努力」ではなく、会議日に患者対応量を調整する運用でした。
この経験から、18単位で残業になるときは「自分が遅い」と決めつける前に、その日に失われた業務時間と、調整された単位数を確認することが重要だと考えています。
単位数の調整を相談するときの考え方は、理学療法士が単位数を減らしたいときの相談方法でも詳しく紹介しています。
18単位後のカルテは残業として扱われるのか
カルテや書類が業務として必要で、使用者の指揮命令下で行っている時間なら、単に「自分の勉強が遅い」「自主的に残っている」と呼ぶだけで判断するものではありません。実際に何をしていた時間なのかを記録することが大切です。
休憩中や始業前の業務も記録する
厚生労働省の労働時間把握に関する案内では、休憩や自主的な学習と報告されていても、実際には使用者の指示で業務に従事しているなど、指揮命令下にある時間は労働時間として扱う必要があるとされています。
そのため、残業を把握するときは退勤後だけでなく、始業前の情報収集、昼休みのカルテ、持ち帰った資料作成も分けて記録します。
法定時間外と職場の所定時間外は同じとは限らない
法律上の時間外労働は、原則として1日8時間または週40時間を超える労働です。一方、職場の定時を過ぎた時間がすべて同じ割増率になるとは限らず、雇用契約や勤務制度によって扱いが変わります。
残業代が申請できない、申請時間を短くするよう求められるなどの悩みがある場合は、理学療法士の残業代が出ないときの確認方法もあわせて確認してください。個別の法的判断が必要な場合は、労働局などの相談窓口へ確認しましょう。
まず7日間だけ残業の内訳を記録する
上司へ相談する前に、1週間だけでも実際の時間を記録すると、「忙しい」という訴えを具体的な改善案へ変えられます。残業時間だけでなく、残った理由まで残してください。
| 記録項目 | 記入例 |
|---|---|
| 実施単位数 | 18単位 |
| 担当人数 | 11人 |
| 記録時間 | 55分 |
| 書類時間 | 計画書25分 |
| 会議・新患 | 会議60分、新患1人 |
| 休憩中の業務 | カルテ20分 |
| 定時後の業務 | カルテ30分、書類20分 |
| 予定が崩れた理由 | 検査変更と家族説明 |
1日だけでは、たまたま忙しかったと判断されることがあります。平日5日から7日分を並べると、会議日だけ増えるのか、18単位の日は毎回残るのか、書類が集中する曜日だけ長いのかを分けられます。
自分の工夫で変わる時間と職場調整が必要な時間を分ける
記録後は、カルテの定型化や担当順の変更で短縮できる時間と、会議、患者配置、書類枠のように職場側の調整が必要な時間を分けます。すべてを自分の効率化だけで解決しようとしないことが重要です。
18単位の残業を減らすためにできる5つのこと
残業対策は、記録速度だけを上げるより、患者予定と付帯業務の配分を変える方が効果的な場合があります。安全性や記録の質を落とさない範囲で、次の順番で確認します。
1.終業前に記録枠を残す
最後の患者さんを終業直前へ置かず、カルテ、申し送り、片付けの時間から逆算して予定を組みます。個人で変更できない場合は、部署の予約ルールとして検討してもらいます。
2.短い記録は患者さんごとに進める
患者さんの状態と実施内容を忘れないうちに要点だけ入力し、後から必要部分を整えると、終業後に全員分を思い出す時間を減らせます。ただし、患者予定が連続して入力時間がない場合は、個人の方法より予定表の問題です。
3.同じ病棟や移動経路で担当順をまとめる
可能であれば、同じ病棟の患者さんを続ける、必要物品をまとめて準備する、連絡事項を一度に確認するなど、切り替え時間を減らします。検査や病棟ケアを優先するため、固定しすぎず調整できる余白も残します。
4.会議・新患・教育がある日は単位数を調整する
会議60分なら、その時間を患者対応へ使えないことを予定作成時点で反映します。「終わらなかったら残業する」ではなく、先に単位数、担当人数、書類期限のどれを調整するか決めます。
5.部署全体の残業時間を共有する
複数人が同じ理由で残っているなら、個別の時間管理ではなく部署の業務設計が原因です。単位数、会議時間、書類時間、申請した残業時間をまとめ、管理者と調整します。
上司へ相談するときは時間不足と調整案をセットで伝える
「18単位がつらい」「残業を減らしてほしい」だけでは、上司が具体策を決めにくいことがあります。何分不足し、どの業務が残り、何を変えれば改善するのかまで伝えます。
直近7日間を記録すると、18単位の日は平均してカルテが約40分定時後へ残っています。特に会議日は60分以上増えています。会議日は16単位へ調整するか、終業前に記録枠を確保できないでしょうか。
この相談例のポイントは、「自分だけ楽にしてほしい」ではなく、事実と改善案を示していることです。すぐに18単位を減らせない場合も、会議日のみ調整する、重介助患者さんの組み合わせを変える、書類日を分散するなど複数案を出せます。
相談後は、誰が、何を、いつまで試すのかを確認してください。「検討する」で終わらせず、2週間だけ試行して残業時間を比較する方法なら、職場側も判断しやすくなります。
改善しても18単位の残業が続く職場の見極め方
一時的に忙しい日があることと、残業を前提に18単位を組み続けることは別です。次の状態が複数続くなら、個人の工夫より職場環境を見直す段階かもしれません。
- 終業直前まで患者予定が入り、記録枠を作らない
- 会議・新患・教育があっても18単位が変わらない
- 昼休みや始業前の業務を残業として把握しない
- 残業申請をすると能力不足のように扱われる
- 複数人が同じ状況でも個人の努力だけを求める
- 記録を示して相談しても期限付きの改善策が出ない
単位数以外にも委員会、人手不足、職場文化などが重なり、毎日残業している場合は、理学療法士が毎日残業する職場の特徴で全体像を確認してください。
体調への影響、相談しても変わらない状況、将来性への不安まで重なっている方は、理学療法士が転職を考えるべきサインで、今の状態を整理できます。
転職を決める前に求人で確認したい5つの質問
残業が改善しないからといって、すぐ退職を決める必要はありません。まずは、ほかの職場で18単位と付帯業務をどのように配分しているか比較すると、現在の運用が普通なのか判断しやすくなります。
- 1日の平均実施単位数と担当患者数はどれくらいですか
- カルテや書類を勤務時間内に書く時間はありますか
- 会議・新患・学生指導の日は単位数を調整しますか
- 月の残業時間には始業前や持ち帰り仕事も含まれますか
- 残業申請は何分単位で、誰の承認が必要ですか
求人票の「残業月5時間」だけでは、昼休みのカルテや申請していない時間までは分かりません。病院見学や面接で、予定表と記録時間の運用まで確認してください。
具体的な質問をさらに整理したい方は、理学療法士が転職で失敗しない職場の選び方も参考にしてください。
転職するつもりがなくても、求人を見ることで単位数、残業、休日、給料を比較できます。まず情報収集から始めたい方は、理学療法士が転職する気がなくても求人を見る価値をご覧ください。
理学療法士の18単位と残業に関するよくある質問
18単位と残業について、現場でよく迷いやすい点をまとめます。職場ごとに勤務制度は異なるため、個別の残業代や契約については就業規則や労働条件通知書も確認してください。
18単位なら残業するのが普通ですか?
必ず残業になるわけではありません。記録枠があり、会議日や新患日に単位数を調整する職場なら、18単位でも定時に終えられる可能性があります。毎日残業になるなら、単位数と付帯業務の配分を確認してください。
18単位が終わらないのは能力不足ですか?
単位数だけでは判断できません。担当人数、介助量、病期、移動、新患、会議、書類量によって必要時間が変わります。まず7日間の内訳を記録し、自分の進め方と職場の業務設計を分けて考えましょう。
カルテを昼休みに書けば残業ではありませんか?
昼休みに業務から離れられず、必要なカルテを書いているなら、負担がなくなったわけではありません。実際の業務時間として記録し、別の時間に休憩を取れるか職場へ確認してください。
上司へ相談しても18単位を減らしてもらえない場合は?
会議日のみ16単位にする、終業前に記録枠を作る、担当人数や介助量を調整するなど、単位数以外の案も提示します。記録を示しても具体策や期限が示されない場合は、ほかの職場と比較する段階です。
残業を理由に転職を考えるのは早いですか?
残業があるだけで直ちに転職する必要はありません。記録、相談、試行を行っても改善せず、休憩や体調まで影響しているなら、転職を考える理由になります。迷う方は、理学療法士が転職を考えるタイミングで判断材料を整理してください。
まとめ:18単位と付帯業務を勤務時間内に収められるか確認しよう
18単位は患者対応だけで360分です。実働8時間なら残る120分で、情報収集、移動、準備、カルテ、書類、連携、会議、新患対応まで行います。
そのため、18単位を終えても残業になるときは、仕事の速さだけでなく、記録枠、会議日の調整、担当人数、昼休みの業務を確認してください。
- まず7日間、単位数と残った業務を記録する
- 自分で短縮できる時間と職場調整が必要な時間を分ける
- 上司へ時間不足と具体的な調整案を伝える
- 試行期間を決め、残業時間が減ったか比較する
- 改善策が示されない場合は、ほかの職場の運用を確認する
求人を見ることと転職を決めることは別です。現在の職場だけを基準にせず、残業が少ない職場の単位数や記録時間を比較してから、残るか転職するか判断してください。
比較するときに転職サービスを使う場合は、理学療法士向け転職エージェントの比較で、サービスごとの特徴と使い分けを確認できます。
参考資料
本記事では、18単位の制度上の位置づけ、労働時間、休憩、割増賃金に関する説明について、厚生労働省および労働局の公開資料を確認しています。

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