「新人なのに、もう18単位を取るように言われた」
「同期は18単位できているのに、自分だけカルテが終わらない」
「入職して何か月目なら、18単位できるのが普通なのだろう」
新人理学療法士が18単位を求められること自体は珍しくありません。しかし、全員が入職後の同じ時期に18単位へ到達しなければならないという全国共通の決まりはありません。
患者さんの状態、担当人数、初回評価、カルテ、指導を受ける時間まで考えず、数字だけを急いで増やす職場では、患者さんの安全と新人の成長の両方が後回しになります。
私は急性期病院で10年以上働く現役理学療法士です。新人や学生の評価・指導に関わるなかでも、単位数だけで成長を判断するのではなく、安全に評価し、相談し、記録まで終えられるかを見ることが重要だと感じています。
この記事では、新人理学療法士にとって18単位がきつくなる理由、単位数を増やす判断基準、教育が成り立つ職場と危険な職場の違い、上司への相談方法まで解説します。
結論|新人の18単位は時期より増やし方が重要
新人が18単位を担当できるかは、入職から何か月たったかだけでは判断できません。安全確認、評価、相談、記録を勤務時間内に行える状態で、段階的に増やせているかが重要です。
| 無理の少ない増やし方 | 注意したい増やし方 |
|---|---|
| 新人の習熟度を確認して増やす | 入職月だけで一律に18単位へ上げる |
| 初回評価や会議の日は調整する | どの業務があっても毎日18単位固定 |
| 勤務時間内に相談・記録の時間がある | 指導とカルテは昼休みや退勤後に行う |
| 患者さんの難易度を段階的に上げる | 高介助・急変リスクのある患者を一度に渡す |
| 定期的に指導者と振り返る | 未達の理由を確認せず本人の努力不足にする |
18単位を達成していても、昼休みにカルテを書き、毎日残業し、分からないことを質問できないなら、独り立ちできたとはいえません。反対に、まだ18単位に届かなくても、安全に患者さんを担当し、課題を一つずつ改善できているなら、必要な成長過程にいる可能性があります。
18単位は新人がすぐ達成する必達ノルマではない
18単位は診療報酬上の療法士側の基準として使われる数字であり、新人教育の修了時期を定める数字ではありません。制度上の「標準」と、職場内の新人目標を分けて考える必要があります。
疾患別リハビリテーションは、1単位20分で計算します。18単位なら患者さんへ直接対応する時間だけで360分、つまり6時間です。
厚生労働省の令和8年度診療報酬改定資料では、療法士1人あたり1日18単位を標準とし、1日24単位、週108単位までが上限と示されています(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定・重点的な対応が求められる分野」)。
ここで大切なのは、18単位が「新人は何月までに必ず達成する」という教育ルールではないことです。日本理学療法士協会の新人理学療法士職員研修ガイドラインは、施設の規模や機能にかかわらず、入職後おおむね1年以内に到達することが望ましい標準的な目標を例示していますが、月ごとの一律な単位数は定めていません(日本理学療法士協会「新人理学療法士の教育・研修を担当する方へ」)。
職場が18単位を目標にすることはあっても、患者さんの安全、臨床能力、記録時間、指導体制を無視してよい理由にはなりません。18単位そのものの時間配分や一般的な負担は、理学療法士の18単位がきつい理由で詳しく解説しています。
新人理学療法士が18単位をきついと感じる6つの理由
新人は患者対応以外にも、情報収集、評価の確認、指導者への相談、振り返りに時間がかかります。経験者と同じ18単位でも、実際の負担は同じではありません。
1.情報収集と評価に時間がかかる
新人の時期は、疾患名や検査値を確認するだけでなく、それが離床や運動負荷へどう影響するかを一つずつ考えます。カルテを読む速度が遅いのではなく、安全に介入するための思考に時間を使っている場合があります。
特に急性期では、バイタル、治療経過、安静度、点滴やドレーン、当日の検査予定まで確認する必要があります。患者さんの状態が変われば、予定していた介入内容の変更も必要です。
2.患者さんごとの治療方針を考える時間が必要
先輩は過去の経験から評価項目や介入方法をすばやく絞れますが、新人は複数の可能性を確認しながら進めます。治療前後の変化を整理し、翌日の方針を考える時間も必要です。
この思考時間をすべて勤務外の自己研鑽にすると、単位数だけは増えても臨床を振り返れなくなります。
3.指導者へ相談して確認する時間がある
新人が判断に迷ったとき、介入前に相談したり、実際の場面を見てもらったりすることは安全管理の一部です。相談時間を「手が遅い」と扱い、単位数だけを経験者とそろえると、分からないまま一人で進める状況が生まれます。
質問したくても指導者がいつも不在で、放置されていると感じる場合は、新人理学療法士が教えてもらえない職場での対処法も参考にしてください。
4.カルテを書く速度だけでは解決しない
新人のカルテには、評価結果をどう解釈し、何を目的に介入したのかを言葉にする難しさがあります。テンプレートを使えば入力は速くなりますが、患者さんの状態に合わない記録では意味がありません。
毎日18単位のあとにカルテと計画書をまとめて書く運用なら、本人の入力速度だけでなく、勤務時間内に記録枠があるかを確認する必要があります。書類負担の整理は、理学療法士の書類が終わらない理由と対処法で解説しています。
5.担当人数が多いと切り替えが増える
同じ18単位でも、1人3単位で6人を担当する場合と、1人1単位で18人を担当する場合では負担が違います。担当人数が増えるほど、情報収集、移動、準備、カルテ、他職種への報告の回数も増えます。
新人が受け持つ人数と増やす時期は、新人理学療法士の担当患者数は何人が目安かで詳しく整理しています。
6.失敗できない緊張が続く
転倒、急変、禁忌、介助量の判断に不安がある状態では、一件ごとの介入に強い緊張が伴います。予定をこなすだけで精いっぱいになり、昼休みや退勤後まで頭が仕事から切り替わらないこともあります。
緊張があること自体は新人として自然です。しかし、相談すると怒られる、失敗を隠したくなる、眠れないほど不安が続くという状態は、単なる慣れの問題として放置しない方がよいでしょう。
新人の単位数を増やす目安は4段階で考える
単位数は「入職3か月だから15単位」のように月数だけで決めず、できるようになった業務を確認しながら増やします。以下は全国共通の基準ではなく、職場の教育計画を確認するための考え方です。
| 段階 | 確認したい状態 | 単位数の扱い |
|---|---|---|
| 導入 | 基本的な情報収集、安全確認、報告手順を覚える | 見学・共同介入を含め、少ない担当から始める |
| 拡大 | よく経験する患者を一定の支援下で担当できる | 患者数と単位数を一度に増やさず段階的に追加する |
| 試行 | 相談が必要な場面を判断し、記録まで終えられる | 通常日に18単位を試し、残業や見落としを振り返る |
| 安定 | 予定変更や体調変化にも相談しながら対応できる | 18単位を基本にしても、初回評価・会議日は調整する |
18単位を一度達成できたことと、毎日安定して担当できることは別です。簡単な患者さんが多い日、初回評価が重なる日、カンファレンスがある日を同じ目標にしない方が、患者さんにも新人にも安全です。
単位を増やす前には、次の項目を指導者と確認します。
- 介入前に必要なリスクを確認できる
- 中止や相談が必要な状態を判断できる
- 患者さんの目標と当日の介入目的を説明できる
- 分からないことを抱えず相談できる
- 勤務時間内に大部分のカルテを記載できる
- ヒヤリハットや予定変更を報告できる
- 指導を受けた内容を次の介入へ反映できる
できていない項目があれば、新人本人だけでなく、指導方法や担当患者の組み合わせも見直します。
18単位でも新人教育が成り立つ職場の特徴
新人が18単位を担当していても、教育と記録の時間を勤務内に組み込み、必要な日に調整できる職場なら、必ずしも無理な働き方ではありません。数字より運用を確認しましょう。
- 新人ごとの到達目標と振り返り日が決まっている
- 指導者と不在時の相談先が明確である
- 難しい患者さんを段階的に担当できる
- 初回評価、家族指導、カンファレンスの日は単位を調整する
- フィードバックを勤務時間内に受けられる
- カルテや書類を書く時間が予定に含まれている
- 単位未達の理由を患者都合と本人都合に分けている
- 相談や中止判断をマイナス評価にしない
理想は、単位を増やす前に「何ができれば次へ進むのか」が本人と指導者の間で共有されていることです。目標が分かれば、新人は単位数だけを追わず、必要な能力を意識して働けます。
新人へ18単位を求める職場の危険サイン
問題は18単位という数字だけではなく、達成するために安全、休憩、記録、教育が削られていることです。次の状態が複数重なる職場は注意が必要です。
- 入職直後から説明なしで経験者と同じ18単位を求める
- 初回評価や会議があっても単位数を調整しない
- 指導者へ相談すると「自分で考えて」と終わる
- 高介助・急変リスクの高い患者さんを一度に任せる
- 昼休みのカルテ入力が当たり前になっている
- 退勤後の振り返りや勉強を当然としている
- 患者都合の中止や検査でも新人を単位未達として責める
- 事故やヒヤリハットを報告しにくい雰囲気がある
- 新人が短期間で何人も退職している
毎日休憩を削って18単位を維持しているなら、達成できているのではなく、休憩時間へ業務を移しているだけです。詳しくは、理学療法士が昼休憩を取れない職場の問題も確認してください。
また、「全員18単位だから」という理由だけで個別事情を考えない職場は、単位ノルマの運用に問題がある可能性があります。リハビリの単位ノルマがきつい職場の特徴と合わせて判断しましょう。
18単位がきついときは事実を記録して相談する
上司へ「18単位は無理です」とだけ伝えると、本人の感覚の問題として扱われることがあります。1〜2週間の業務を記録し、どこで時間が不足しているかを具体的に示すと相談しやすくなります。
- 患者対応、移動、情報収集、記録、相談に使った時間を分ける
- 初回評価、会議、急変など予定外の業務を記録する
- 昼休みと退勤後に行った仕事を書き出す
- 患者安全や記録の質に影響しそうな場面を整理する
- 希望する調整内容と見直す期限を提案する
相談するときは、次のように「困っていること」「患者さんへの影響」「提案」をセットにします。
18単位の日は、初回評価と指導者への相談を含めるとカルテが平均60分ほど勤務後に残っています。急いで記録すると評価の抜けが出そうで不安です。まず2週間は15〜16単位に調整し、記録が勤務内に終わるか確認してから増やせないでしょうか。
私の職場でも、以前は1時間の会議がある日まで18単位が必要で、カルテや書類が残業になっていました。その後、会議日は16単位へ調整され、40分の記録時間が確保されたことで残業は大きく減りました。
この経験からも、18単位ができない理由を本人の能力だけに求めず、その日の付帯業務に合わせて単位数を調整することが重要だと考えています。具体的な減らし方は、理学療法士が単位数を減らしたいときの相談方法で解説しています。
単位数を調整してもらえないときの判断基準
相談してすぐに希望どおりにならなくても、職場が状況を確認し、期限を決めて改善する姿勢があるなら様子を見る余地があります。反対に、具体的な問題を伝えても放置されるなら、環境そのものを見直す必要があります。
| 様子を見られる状態 | 環境を見直したい状態 |
|---|---|
| 指導者が業務時間を一緒に確認する | 記録を見ずに努力不足と決めつける |
| 難しい患者や単位数を一時調整する | 患者安全より単位達成を優先する |
| 改善策と再評価日が決まる | 「そのうち慣れる」で期限がない |
| 勤務内に振り返り時間を作る | 休憩・退勤後の作業を当然とする |
| 相談先を変更できる | 相談したことで叱責や不利益を受ける |
新人だから負担を感じる時期はあります。しかし、休憩が取れない、残業が常態化している、患者さんの安全に不安がある、心身の不調が続く状態まで我慢する必要はありません。
今の状態が転職を考える段階か迷う場合は、理学療法士が転職を考えるべきサインを使って、業務量以外の問題も整理してください。
転職前に確認したい新人教育と単位数の質問
別の職場を検討する場合も、「新人教育あり」「プリセプター制度あり」という言葉だけでは実際の運用が分かりません。見学や面接では、単位数と教育時間を具体的に質問します。
- 新人は何単位から始め、どのように増やしますか
- 18単位へ増やす時期は何を基準に判断しますか
- 初回評価やカンファレンスの日は単位調整がありますか
- 指導者と不在時の相談先は誰ですか
- フィードバックは勤務時間内に行いますか
- カルテや書類を書く時間は予定に含まれていますか
- 新人の平均退勤時刻は何時ごろですか
- 最近入職した新人の定着状況はどうですか
質問に対して、数字や一日の流れを具体的に説明できる職場は比較しやすいです。「人による」「慣れればできる」だけで終わる場合は、見学時の新人の様子や退勤状況も確認しましょう。
求人票と病院見学で確認する順番は、理学療法士が転職で失敗しない職場の選び方で詳しく解説しています。
新人理学療法士と18単位に関するよくある質問
最後に、新人の18単位について迷いやすい点を簡潔に整理します。職場ごとの違いが大きいため、数字だけで自分を評価しないことが大切です。
新人理学療法士は何か月目で18単位が普通ですか?
全国共通の月数はありません。急性期、回復期、外来などの配属先、患者さんの難易度、担当人数、指導体制によって異なります。月数より、安全確認、相談、記録まで行えるかで判断します。
同期より単位数が少ないのは能力不足ですか?
単位数だけでは判断できません。担当患者の疾患、介助量、初回評価の件数、指導者の方針が違えば、同じ新人でも単位数は変わります。比較するなら、自分が以前より安全に判断し、記録や相談をできるようになったかを確認しましょう。
18単位が終わらないのは仕事が遅いからですか?
仕事の慣れが影響する場合はありますが、それだけではありません。移動、初回評価、会議、書類、指導時間が予定に含まれていなければ、経験者でも終わりません。まず実際の時間配分を記録して原因を分けてください。
18単位がつらいなら転職した方がよいですか?
すぐに転職を決める必要はありません。単位調整、担当患者の変更、指導者との面談で改善することもあります。ただし、具体的に相談しても改善策や期限がなく、安全や心身に影響しているなら、ほかの職場と比較する価値があります。
まとめ|18単位より安全に成長できる仕組みを確認しよう
新人理学療法士に18単位を求める職場はありますが、全員が同じ月に達成すべき全国共通のルールはありません。重要なのは、患者さんの安全を守り、相談と記録を勤務時間内に行いながら段階的に増やせることです。
- 18単位は療法士側の標準であり、新人教育の期限ではない
- 月数だけでなく、安全確認、評価、相談、記録の状態を見る
- 初回評価や会議の日まで毎日18単位固定なら運用を確認する
- 1〜2週間の業務時間を記録して具体的に相談する
- 改善策と期限が示されない場合は、ほかの職場と比較する
今の職場で改善できるか迷うときは、まず担当数と付帯業務を整理し、上司へ具体的な調整を相談してください。それでも状況が変わらなければ、理学療法士が転職を考えるタイミングを確認し、今の職場に残る場合も含めて判断しましょう。
実際に環境を変える段階では、求人を一つだけで決めず、教育体制と単位数の運用を複数の職場で比較してください。情報収集の方法は、理学療法士向け転職エージェントの比較でも整理しています。

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